泉 康雄と表面化学グループの研究紹介 ***** 現在改訂中 *****
2016年1月4日 月 14:11
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研究紹介 |
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2. 二酸化炭素の光燃料化 |
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自然エネルギーの中でも、太陽から地上に届く1時間当りの光エネルギーは、地球全体で1年間に使われるエネルギーに等しく、将来的に大きな潜在力があります。現在、光エネルギーによりCO2を変換する研究は盛んに行われていますが、本研究グループでは現在の流行に先駆けて( Coordination Chemistry Reviews 2013; ACS Book 2015)、自然光を利用して二酸化炭素を光燃料化する触媒を開発しました(右下図; Journal of Catalysis 2011, Catalysis Today 2012)。銅・亜鉛・ガリウム(あるいはアルミニウム)を含む合成粘土を触媒として、カチオン層間に濃縮された二酸化炭素(炭酸水素種)を光によって生じた電子と反応させ、触媒的にメタノールへ導かれる様子が赤外分光やX線分光により明らかになりました(下図; Applied Catalysis A 2014)。 本研究グループの触媒は安価であり、発電所や工場で排出する二酸化炭素を軽減させるか、また、触媒じしんが二酸化炭素を濃縮する性質をもつことから、室内の二酸化炭素を光燃料化する応用が考えられます(特開2011–31155)。 さらに光酸化系(酸化タングステン)と光還元系(上記層状複水酸化物)とを組み合わせたCO2の光燃料化も実証し、銅サイトに気相CO2が結合することがメタノール/CO化の必要条件であることを示しました(右上図; Catalysis Science & Technology 2014)。さらに、金/銀ナノ粒子の表面プラズモン共鳴との組み合わせにより、可視光の更なる活用にも成功しています( Applied Catalysis A 2015)。 ごく最近の高圧CO2 + 水蒸気、あるいは高圧CO2 + H2から光触媒フィルムを用いた光燃料化高速化については、2016年3月に開かれる251回アメリカ化学会にて発表します(右下図)。水の方が水素よりCO2と反応しやすい、という化学の根底を覆すような結果を得ています。 |
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